monthly oystergate 2006-09 


 

*Summary in English

 

香港再開発


「温故知新」の精神

またひとつ、香港から見慣れた風景が消える。
スターフェリーのセントラル側乗り場がこの11月に新しくなるという。
それと入れ替わり、長い間親しまれてきた現在の乗り場は解体される。

香港政府のウェブサイトで新しいフェリー乗り場の詳細写真を見た。
スターフェリーの特長や歴史をあちこちにうまく取り入れた、思っていたよりずっと 素敵なデザインだったので安心した。

ここ数年、香港に行くと、街づくりに「温故知新」の気持ちが込められているのを感じる。
以前から、アラン・チャンのデザインや、「上海灘」、上環の「ウェスタンマーケット」のように、レトロをマーケティング戦略として取り入れる傾向はあった。
しかし、商戦とは関係なく、街を歩いていると、純粋に古い建造物を残そうという姿勢が前より強く感じられるのだ。

再開発時、建物を完全に解体し、更地にして新しい建物を建てるのではなく、その場所に今まであった建物をよそへ移築したり、部分的に残して改築するケースが多く見られる。


九広鉄道の時計塔に始まって・・・

その先駆けともいえるのが、スターフェリーのチムサアチョイ側乗り場近くにある時計塔である。
この時計塔はもともと、1916年3月に操業を開始したKCR(九広鉄道)チムサアチョイ駅駅舎の一部だった。
Hong Kong Railway Societyのウェブサイトに、当時の駅舎の写真がある。
この駅舎は1975年9月、その機能をKCRホンハム駅に移して閉鎖された。

1984年に発行された島尾伸三さんの「香港市民生活見聞」に、当時のYMCAから見たチムサアチョイ駅跡地の写真が載っている。
写真には、チムサアチョイ駅が時計塔以外、跡形もなく壊されて更地になった様子が写っている。
現在、その跡地には香港文化中心や香港太空館が建っているが、時計塔がある限り
、かつてここに駅があったことを人々は忘れないだろう。

島尾さんが撮影されたその写真の右端には、水上警察本部のレンガ造りの建物も写っている。
今年の初めにこの建物の前を通ったところ、工事中であった。
解体されているのかと心配したが、香港政府によると、この建物は観光目的に再構築されるということだ。
独特のレンガ壁や窓枠の装飾が残されるなら、うれしい。
(追記:自分の持っていたアンティークの絵はがきにも当時の時計塔と駅舎が写っているものがありました。こちらからご覧いただけます。)

スタンレーにある「マレーハウス」という洋館も、1846年に英国軍将校用住宅としてセントラルに建てられていたものを、1982年に解体し、2000年に現在の場所に当時の資材を使ってそのまま再現したそうである。
他にも、植民地時代を彷彿とさせる建築物が次々と移築されている。


理想的な再開発を祈りつつ

同じ港湾都市でも、日本の横浜では現在、古い建物が片っ端から跡形もなく解体されている。
かろうじて幾つかが部分的に保存されているが、今後も多くの近代建築の解体が予定されている。
これは観光開発計画の偏りに原因があるのではないかと思う。
歴史的な建築物は、みなとみらい地区より少し離れた官庁街や港湾設備に集中しているからだ。

香港でもホンハム辺りで大規模な開発計画があると聞いている。
横浜と同じ轍を踏まないように案じるばかりである。

現在のスターフェリーのセントラル側乗り場にある時計塔は、後ほど、新しい乗り場に移築される予定だという。
あの耳慣れた出航のベルも引き続き使用される。
同時に、新しい乗り場にはエレベーターとエスカレーターが新設され、船に向かう通路は幅が広くなり歩きやすくなる。
これは、古くて味わいのあるものを残し、新しく使いやすいものを取り入れるという、理想的な改築の例といえるかもしれない。
いつになるかは知れないが、次に香港を訪れた時、自らそれを確認するのが楽しみだ。

 

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参照 / Ref

香港政府 ウェブサイト
http://www.info.gov.hk/eindex.htm

香港ナビ ウェブサイト
http://www.hongkongnavi.com/miru/miru_r_article.php?id=3

Hong Kong Railway Society
http://www.hkrs.org.hk/members/crush/kcrhistory/opening.htm

「香港市民生活見聞」島尾伸三 / 新潮社 1984年

HONG KONG : THE FACTS / Tourism
Published by the Information Services Department, Tourism Commission Hong Kong Special Administrative Region Government
September 2003

 


 

Redevelopment in HK

In old Chinese phrase, they say "Exploring the old to understand the new".
I feel that many of recent redevelopments in HK are ongoing with this idea.

This November, present Central Star Ferry Pier building is replaced with the new one.
I saw some pictures of the new building, and relieved to know that it reflects the atmosphere of the old building.
At the same time, new one has new escalators and elevators.
And later, the clock tower of the old building will be moved and installed in the new facility as a landmark.

I can't wait to see the new pier building, and also other buildings in HK, now under renovation with the idea "Exploring the old, to understand the new".

 


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