monthly oystergate 2006-04 


 

*Summary in English

香港の人々が怖いのは
地震雷火事ナントカではなく・・・

 

香港には地震は来ない?

香港島のビクトリア湾沿いには高層ビルがひしめいている。
その背後では、街のあちこちに崩れかかった古いビルがあり、人々は平然とそこで暮らしている。
日々地震におびやかされている日本人の多くはそれを見て、「地震が来たらどうするんだ?」と思い、「いや、そもそも香港に地震は起きないのか?」と考える。

香港では地震がほとんど起こらないと言われている。
特に香港島は、ニューヨークのマンハッタンと同じく、岩盤の上にあるので地震に強いという。
本当にそうなのだろうか?

 

地震が起きないわけではない、が・・・

日本の気象庁にあたる香港天文台のウェブサイトによれば、香港全体で年平均2回の地震が起きており、皆無というわけではなかった。

香港で最も大きな被害が出た地震は1918年の汕頭地震で、震度は7。
ただし、香港では「メルカリ震度等級」を採用しており、この場合の「震度7」は気象庁の震度等級でいうと「震度4〜5弱」に相当する。
この程度で「過去最大」なのだから、やはり香港は極めて地震と縁遠い場所だと言える。

同サイトには「(香港では)すべての建物はメルカリ震度7に耐えられるように建築しなければならない」という記述もあった。また、香港でメルカリ震度5以上の地震が発生する周期は15年〜20年に一度、メルカリ震度7以上の地震が発生する周期は350年〜400年に一度だそうだ。

ちなみに日本の場合、震度2以上の有感地震が東京だけで年平均15回起きている。東海地震、東南海・南海地震は、気象庁の震度等級で震度6以上(メルカリ震度ではおよそ8〜9以上)の規模と予想され、どちらも100年〜150年周期で発生している。

 

なぜ地震が少ないか?

香港で地震がほとんど起きないことはわかった。 ではその理由は何なのか。

まず地理が挙げられる。 日本や台湾の地震の原因のひとつであるユーラシアプレート。
今までの調査で、このプレート境界から200キロを境に、プレートからの距離が離れれば離れるほど、プレートが原因の大規模地震の影響を受けなくなるという。
香港はこのプレート境界から約600キロ離れており、プレートの影響から逃れるには十分な距離である。

そしてまことしやかに言われ続ける「香港は岩盤の上」説を実証する地質という条件がある。

香港政府出版物 "FOUNDATION DESIGN AND CONSTRUCTION" にある香港全土の地質図を見ると、チムサアチョイから獅子山までの九龍半島全体、クントン辺りの山側からビクトリア湾にかけた一帯、そして香港島のビクトリア湾沿いから山側までの一部(埋め立て地を除く)は実際に白亜紀の花崗岩の地質である。

花崗岩の地質は地震に強いのか?
日本の鳥取県西部地震を扱った四国新聞の記事に
、それを説明する次のような記述があった。

「被害が想像以上に少なかったもう一つの理由に、震央付近の地盤が花崗岩の岩盤であったことを挙げた。地震災害は、地盤条件に大きく支配される」

つまり、仮に大きな地震が発生しても、強固な花崗岩地盤を持つ香港島のビクトリア湾沿いでは、地盤の弱い地域より被害が少ないと予想できるわけだ。

そういう意味で、あの高層ビル群を見て「香港は岩盤の上、だから地震の心配はほとんどない」説を唱える人は正しかったと言っていいだろう。

ただし、地質図によると元朗あたりの地質は砂、シルト(砂と泥の中間)、粘土などから成り立っているし、他地域もそれぞれ異なった地質である。
香港「全土」が岩盤の上、というわけではもちろんない。

 

地震雷火事ナントカではなく・・・

先に参照した香港天文台サイトにある建築基準には「風速250km/時に耐えられるように建築すること」という部分があり、地震よりも風に対する規制の方が厳しいように感じられた。

香港のサイクロン(台風と同じ性質をもつ強い熱帯低気圧)警報の最高レベルは「シグナル10」。
これが発令される場合、風速は約118km/時以上、最大風速は約220km/時におよぶ。
参考までに、アメリカで大きな被害を出したハリケーン・カトリーナの最大風速は約250km/時。
日本における最大風速は1965年、室戸岬で記録された台風23号の251.28 km/時だった。

シグナル10は'85年〜'05年の20年間で4回発令されている。
香港の強風事情はなかなかに深刻だ。

ところ変われば怖いものも変わる。
「1997」がとうに過ぎた今、香港の人々は何を最も恐れているのだろうか。
サイクロン。鳥インフルエンザ。株価の暴落。農薬に汚染された野菜。中国政府。それとも・・・。
とにかく地震でないことだけは確かである。


参照

四国新聞社ウェブサイト 鳥取県西部地震
http://www.shikoku-np.co.jp/feature/tuiseki/106/index.htm

ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/メルカリ震度階級

地震調査研究 推進本部 ウェブサイト
http://www.jishin.go.jp/main/index.html

名古屋市消防局ウェブサイト http://www.shobo.city.nagoya.jp/bousai/tokaijishin/tab_02_2.html

Hong Kong Ovservatory 香港天文台
http://www.weather.gov.hk/contente.htm

GEO PUBLICATION No. 1/2006 FOUNDATION DESIGN AND CONSTRUCTION GEOTECHNICAL ENGINEERING OFFICE
Civil Engineering and Development Department The Government of the Hong Kong Special Administrative Region 2004 Hong Kong

City Guide(地図) 萬里機構・萬里書店 2004年刊   

 

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Who's afraid of earthquakes in Hong Kong?

People often say that Hong Kong is earthquake-free.
Is it true? Mostly, yes.

According to some facts I got from Hong Kong Observatory website and others, Central district of Hong Kong and its surrounding have a granite stratum, which is very tolerant of earthquakes.

Geographic location of Hong Kong also keeps the residents away from earthquakes.

Hong Kong is about 600 km away from some "plates", main causes of major earthquakes in Taiwan and its neighbouring areas. Usually, effects of large magnitude earthquakes due to the "plates" decrease rapidly at distances greater than about 200 km from the its boundary.

So, you can say "Central district of Hong Kong is almost earthquake-free", pointing at skyscrapers in the area.

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Victoria Harbor in a postcard
-- 20yrs ago --

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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