monthly oystergate 2006-02 


 

*Summary in English

ぬるま湯的広東語学習

 

初めて香港に旅行してから十数年がたつ。以来、毎年のように繰り返し香港を訪れているのに、広東語は一向に上達しない。全く今まで何冊の広東語教習本を買ったことか。
もはや広東語をきちんとマスターするより、教習本を収集する方が主な目的になっているようである。


1冊目
「トラベル 香港・広東語会話手帳」
八角高茂 著 1986年 株式会社語研刊


1980年のおわりに初めて買ったカセットブックがこれだ。
明らかに旅行者向けの1冊で、カセットテープが1本ついていた。
今になって見てみると、なかなか親切な内容で、旅行者ならこれ一冊で十分事足りる。

しかし、なぜか当時の私はこれでは満足しなかったようで、その後もう1冊カセットブックを買っている。


2冊目
「SS式 すぐに話せる!広東語」
陳 翠儀 著 1990年 UNICOM刊


カセットテープが何本セットだったかはもはや定かでないが、4本ほどあった気がする。ちなみに現在カセット版はないらしく、Amazonで調べたら同じ本が「CD付き」になっていた。

前出の「トラベル 香港・広東語会話手帳」がシチュエーション別に会話をまとめているのに対して、この「SS式」は文型別に文例を載せているのが大きな違いである。

例えば「トラベル・・・」の「機内で」というセクションをみると、「私の席まで案内してください」「日本語はおわかりですか」「もっとゆっくり話してください」という風に、そのシチュエーションで必要になると思われるフレーズを順に紹介している。

一方「SS式」の「会話表現編」の初めにあるのは「ありますか」というセクション。「(この辺に)電話ありますか」「(この辺に)お手洗いありますか」「(この辺に)ホテルありますか」「(この辺に)銀行ありますか」「(この辺に)郵便局ありますか」・・・とうんざりするほど「ありますか」というフレーズを徹底的にたたき込んでくれる。ちなみにこのセクションには全部で50もの「ありますか」を使った例文が載っている。

私の場合、実際にトイレを借りたり(トイレありますか)、店でビールを頼んだり(ビールありますか)、地下鉄の駅を尋ねたり(MTRの駅ありますか)するのに「SS式」が役にたった。今でも「SS式」のブックレットは香港旅行に必ず携帯してゆくほど気に入っている。この本のおかげで「ありますか」にだけは自信がある(笑)。

 

その後、心を入れ替え、ニューヨークのチャイナタウンで半年ほど、週一回のペースできちんと広東語を習った。その時に使用した参考書が次の2冊。


3冊目
SPEAK CANTONESE BOOK 1
Parker Po-fei Huang / Gerard P. Kok 著
1978年 (Revised Edition) FAR EASTERN PUBLICATIONS YALE UNIVERSITY刊

4冊目
Character Text for SPEAK CANTONESE BOOK 1
粤語課本 漢字本 (3冊目の漢字表記バージョン)
Parker Po-fei Huang / Gerard P. Kok 著
1974年(Third Printing)FAR EASTERN PUBLICATIONS YALE UNIVERSITY刊


何といってもあのYale大学で出している参考書である。アカデミックに勉強してるな自分、という気分を盛り上げてくれる。
アルファベットを使った広東語の発音表記方法は幾つかあり、ひとつに慣れると他方法で表記されている単語を見てもどんな発音なのかピンとこない場合がある。
私程度の学習者にそんな心配は無用なのだが、これはYale大学で出している参考書だから当然、Yale式で広東語の発音を表記している。

チャイナタウンで出会った先生はとてもキュートでステキな香港人女性で、今でも個人的に行き来しているほどである。よい先生に恵まれて私の広東語も一瞬、向上したかに思われた。
しかしその後、アメリカ英語の厳しい洗礼を受け、英語と引き替えに半年かけてやっと覚えた広東語を忘れてしまった。
ヒトの脳みその許容量は一定という俗説を信じたい。


5冊目
The Right Word in Cantonese 廣州話指南
Kwan Choi Wah 著 1989年 The Commercial Press刊


5冊目は入門者向けの英広辞書で、これも広東語の発音はYale式で表記されている。
ただ、私のレベルでは残念ながらさほど活用できていない。
CD版があれば、英語辞書「英辞郎」のように逆引き機能で広→英にも使える内容であるが、その場合、漢字は手書き文字入力に頼る必要があるかもしれない。


6冊目
LEARN CHINESE CHARACTERS IN HONG KONG (SECOND EDITION)
Chan Kwok Kin and William Crewe 著
1993年 Greenwood Press刊


6冊目は漢字の読めない人を主な対象にした本である。私は漢字は読める。しかし当然、日本語で使われている場合に限られる。日本語と同じ漢字でも、広東語での発音や意味はわからないため、とんちんかんな推測をしてひどい目にあうことがある。

この本は、それぞれの漢字を実際に使用した看板や表示板の写真が載っており、どんな時にその漢字が使われて、どういう発音でどういう意味なのかを教えてくれる。
発音もYale式、Lau式、Pinyingの三種類の方式で表記されていて親切だ。
初心者向けのため、紹介している項目が少ないのと、写真がすべてモノクロなのが残念。

ところが最近、日本でも似たような本が出ているのを見つけ、つい買ってしまった。


7冊目
「解読!香港 〜看板でめぐる都市ガイド&会話ブック〜」
「アジアの街角探検隊」香港取材班 著 2001年 雷鳥社刊


この本はカラー写真が多く、漢字一字一字ではなく、看板に書かれたフレーズ全体を解説している。香港の街を歩いていると、「清貨」とか「時款」など、たぶんこういう意味だろうな、と推測しつつも意味不明な表現がたくさんあり、この本はそういった謎を解いてくれる。

ただ、各ページに載っている「ひとこと会話」や「役立つ会話」は中途半端で必要性が感じられない。広東語は発音が難しいので、聞くにも話すにも発音のカナ表記はほとんど役にたたないため、この本を買うような私レベルの初心者にはこれらの会話の実践は難しいと思われる。

この本を人に直接見せて、筆談感覚で意志の疎通をはかるなら、もっと便利で応用のきく会話本はいくらでもある。
「会話」コーナーのスペースを各看板のさらに細かい解説や応用例に割いてくれれば、読み物としての楽しみが倍増するのに、と思うのはぜいたくか。


8冊目
「今すぐ話せる広東語 入門編東進ブックス」
山本 康宏 著 1999年 ナガセ刊


買った順番でいくと、厳密にはこれが7冊目、前出の「解読!・・・」が8冊目になる。
この期に及んでさらに会話本を買った理由は単純。音声CDが欲しかったからだ。
10年以上使ってきたポータブルカセットプレイヤーが遂にいかれ、移動の際にはポータブルCDプレイヤーしか使えなくなった。Amazonで売れ筋の広東語会話本を見たら、これが上位だったので買ってみたのだ。

しかしこの中身もやはり、シチュエーション別の会話構成だった。お気に入りの「SS式」がCD付きになっているのに気づいていたらそちらを買ったのにと悔やまれる。

 

香港に行くたびに、次に来るまでにはもっと勉強してこよう、と思うのだが叶わず、会話本の類だけが増えてゆく。正月だけパーマをかけて普段はボサボサ頭のおばちゃんみたいな態度である。勉強しないでも覚えられるのは食べ物の名前ばかり、というのも自分の卑しさが現れていて切ない。

得意の「ありますか」と組み合わせて繰り出す会話は、「マンゴープリンありますか」「豚肉と皮蛋の粥ありますか」「蝦蒸餃子ありますか」・・・ はいはい、ありますともさ、と自分で答えたくなってしまう情けなさなのであった。

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I've been studying Cantonese on and off since my first trip to Hong Kong almost twenty years ago. Somehow, it seems that I will never learn how to speak Cantonese.
I often buy text books to learn Cantonese, but they have never worked.
Up to today, I know only some phrases in Cantonese such as "... is available?"
And mainly, I use these phrases to buy my favorite Chinese foods...


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